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Tokyo / English

後藤倫人

February 24, 2012

新人カメラマン・後藤倫人の初の写真展が目黒で開催される。

  • Text by Ayumi Seki

大学卒業後、通常の就職活動にはきびすを返し、まったく素人だった写真の世界に着の身着のまま飛び込んだ後藤倫人。細身の長身にレザージャケットを着こなす後藤は、カメラマンというより、どちらかというと被写体となるアーティストのよう。しかし、破天荒に見える外見とは裏腹に、その実コミュニケーション下手なシャイボーイ。だが、“師匠”と仰ぐ写真家の下でアシスタントを4年間務めた後藤は、「人を撮るのが一番面白い」と話す。漠然とした自信を抱えて写真の世界に飛び込んだ後藤が、プロの仕事に触れて学んだこととは。3月4日に開催されるPhoto Exhibition(good days)を前にした後藤に話を聞いた。 

Satellite Voices:カメラマンを志したきっかけは? 
後藤倫人:大学4年生の就活でアパレル系の会社を1社だけ受けたんだけど、書類で落ちて、なんとなく「向いてないのかな?」と思ったんです。それに、就職して、いまの生活から全然違う感じになるのがイヤだった。偉そうな言い方になるけど、受け入れるだけの生活になりたくなかった。それより、何かを創っていく人になりたかった。写真はやったことなかったし、カメラにちゃんと触ったことも無かったけど、なぜか自信があって、写真の専門学校に入りました。

Satellite Voices:今の師匠のアシスタントになった経緯を教えて下さい。 
後藤倫人:カメラマンになるには、誰かのアシスタントになるか、スタジオに入るのが正攻法なのかなと漠然と思っていて、新卒の面接にことごとく落ちた後、中途であるスタジオに受かったんです。専門学校を辞めてそのスタジオで働いていた時に、今の師匠と出会いました。「適当でいいよ」って言うカメラマンが多い中、師匠は本当に写真に一途だった。撮り方がすごくカッコ良くて、すぐに好きになりました。何回か撮影を手伝わせてもらっていたら、あるとき撮影中に「オマエ、ここ辞めて何したいんだ」と聞かれて、「僕、あなたの写真が好きなんで、アシスタントとして働かせて下さい」と言って、面接を受けさせてもらいました。その面接には落ちたんだけど、そこから紆余曲折あって、アシスタントとして採用されました。今の師匠は本当に尊敬してるし、感謝してます。自分の“芯”を通してもらったと思ってます。写真は時間を撮るものだって気づかせてくれたのは、師匠の2人です。  

Satellite Voices:撮り始めた頃は、どんな写真を撮っていたんですか?
後藤倫人:最初の頃は、有名な人を撮って、早く自分も有名になりたいっていう下心があって、バンドを撮らせてもらったりしてました。いきなり楽屋に押し掛けて行って、バンドに向かって「撮らせて下さい!」って言ったり。ヘンな自信があったんです。「僕、マジでスゴいんで、絶対撮らして下さい」って。イベントのオーガナイザーさんに頼んで、イベントの記録写真や、クラブのパーティースナップを撮る代わりに、そのイベントに出演しているバンドを撮らせてもらったりもしました。それをずっと続けていたら、ロック系のイベントのオーガナイザーさんに、写真を気に入ってもらって毎回呼んでもらえるようになりました。そういうことが結果的に、バンドのアーティスト写真を撮らせてもらうことにつながっていきました。

Satellite Voices:3月4日の展示会“good days”では、ポートレートの展示が多いですね。
後藤倫人:僕、洋服が好きだから、最初はファッションカメラマンになろうと思ってたんです。でも、今の師匠のアシスタントになって、二人の仕事ぶりや撮る写真を見てたら、やっぱり人が撮れないとダメだなと思った。人を撮るってどんなジャンルに進もうと、やっぱり基本だと思うんです。良いポートレートだと、それがハッキリとわかる。良いポートレートは、絶対に(胸に)入ってくる。最初は“良い写真”って言われても全然わからなかったけど、撮るうちにだんだん感じられるようになってきた。僕の師匠はそういう良い写真を、“強い写真”って呼ぶんです。だから、僕にも「強い写真を撮れ」って言う。今回の展示会ではポートレートをメインに、50点ぐらい展示します。普通のギャラリーじゃなくて師匠のスタジオを使ってやるから、展示の仕方も工夫します。額縁も自分で作りますよ。

Satellite Voices:強い写真はどうやったらわかるんですか?
後藤倫人:師匠の受け売りになっちゃうけど、強い写真、良い写真は、被写体の前に、撮った人が写ってるんです。撮った人の前に、僕がちゃんと見える写真が撮りたい。それが本物だと思います。

Satellite Voices:写真で面白いと思う瞬間は?
後藤倫人:撮影中、被写体と波長が合う瞬間って、絶対にあるんです。僕はすごい人見知りだから、撮影を通じて行うコミュニケーションの取り方もあるんだと学びました。

Satellite Voices:独立し、フリーのカメラマンとして活動していくわけですが、どのようなカメラマンを目指しますか?
後藤倫人:僕は「自分にはこれがある!」っていうものがずっとなかったから、少なくとも「写真が撮れる人」になりたい。それが僕の存在価値だと思ってます。僕は人が撮るのが好きだし、その中でも、やっぱり音楽の匂いがする人を撮りたいと思いますね。カメラマンって厳しい仕事だし、経済的にも難しいけれど、それでも、やりたいと思えることを見つけられたし、僕の写真を喜んでくれる人もいる。カメラマンを目指して良かったなって思ってます。ようやくスタートラインに立ったから、これからの10年はすごく大事ですね。

Michito Goto Photo Exhibition (good days)

2012年3月4日(日) 11時~21時頃

太陽スタジオ 1F 東京都目黒区目黒本町2-7-4 太陽ビル1F

Taiyo Build. 1F
2-7-4, Meguro Honmachi
Meguro
Tokyo

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